温泉の中でも特定の成分が一定以上あり療養に役立つ温泉を「療養泉」と呼びます。一般的に「温泉」としてイメージされているのがこの療養泉で、10種類の泉質に分類されています。
それぞれの泉質の①湯の色、②味、③臭い、④肌ざわり、⑤温泉の特徴、⑥主な適応症、について解説します。温泉へ行かれる際の参考にしてみてください。
1.単純温泉
泉温が25度以上あり、療養泉で定める特定の成分が一定未満の温泉
①湯の色
無色透明
②味
無味
③臭い
無臭
④肌ざわり
サラサラ、トロトロ
⑤温泉の特徴
お湯が柔らかく刺激が少ないので湯あたりしにくい。
子供にもやさしいことから「家族の湯」とも呼ばれる。
アルカリ性の単純温泉は湯がトロトロしている
⑥主な効能
疲労回復、神経痛、筋肉痛、肩こり
2.炭酸水素塩泉
温泉水に溶けた物質が一定以上あり、主たる成分が炭酸水素イオンの温泉(鉱泉)
①湯の色
無色透明、黄褐色、緑褐色
②味
苦味、薬味
③臭い
金気臭、薬臭
④肌ざわり
なめらか、トロトロ
⑤温泉の特徴
皮脂や汚れを落とし肌を整えるクレンジング効果があり「美肌の湯」と呼ばれる
飲用すると胃腸に効果あり
⑥主な効能
切り傷、やけど、慢性皮膚病、美肌作用
3.塩化物泉
温泉水に溶けた物質が一定以上あり、主たる成分が塩化物イオンの温泉(鉱泉)
①湯の色
無色透明
②味
塩味
③臭い
無臭
④肌ざわり
塩分が多いとべたつき感
⑤温泉の特徴
保湿コーティング効果があるため「仕げの湯」とも呼ばれ最後に入ると良い
保温効果が長く続くため「熱の湯とも呼ばれる」
⑥主な効能
冷え性、切り傷、やけど、関節痛
4.硫酸塩泉
温泉水に溶けた物質が一定以上あり、主たる成分が硫酸イオンの温泉(鉱泉)
①湯の色
無色透明
②味
苦味、薬味
③臭い
無臭、焦げ臭
④肌ざわり
なめらか
⑤温泉の特徴
肌の蘇生を促し切り傷や火傷に効く「傷の湯」と呼ばれる
その他効能により「美肌の湯」「脳卒中の湯」とも呼ばれる
飲用は便秘に効果
⑥主な効能
動脈硬化症、切り傷、やけど、慢性皮膚病
5.二酸化炭素泉
温泉水に一定以上の二酸化炭素が含まれる温泉(鉱泉)
①湯の色
無色透明
②味
無味
③臭い
無臭
④肌ざわり
低温ほどシュワシュワとした爽快感
⑤温泉の特徴
「泡の湯」と呼ばれ炭酸ガスを含み血行を促進する「心臓の湯」とも呼ばれる
泉温が低い場合が多く、加温するとガスが揮散する
⑥主な効能
高血圧、動脈硬化、きりきず、やけど
6.含鉄泉
温泉水に一定以上の総鉄イオン (Fe2+, Fe3+)が含まれる温泉(鉱泉)
①湯の色
茶褐色、淡い緑色
②味
渋み、酸味
③臭い
鉄さび臭、金気臭
④肌ざわり
酸性が強い場合ピリピリ感
⑤温泉の特徴
貧血、更年期障害、月経障害、冷え性などに効果があり「婦人の湯」とも呼ばれる
飲用の適応症は鉄欠乏性貧血
⑥主な効能
神経痛、リウマチ、創傷、婦人病
7.硫黄泉
温泉水に一定以上の総硫黄が含まれる温泉(鉱泉)硫化水素を含む硫化水素型と含まない硫黄泉に大別される
①湯の色
乳白色、緑・青など
②味
苦味、酸味
③臭い
硫黄臭
④肌ざわり
すべすべ、しっとり
⑤温泉の特徴
成分が浸透しやすく殺菌効果が強い
皮膚病の湯・美肌効果・シミ予防効果
肌への刺激が強いので長湯はしない方がいい
⑥主な効能
リウマチ、運動障害、しもやけ、創傷
8.酸性泉
温泉水に一定以上の水素イオンが含まれる温泉(鉱泉)
①湯の色
無色、白濁
②味
酸味
③臭い
刺激臭
④肌ざわり
ピリピリ
⑤温泉の特徴
肌や目にしみる強い刺激があり湯あたりしやすい
入浴後はシャワーなどで温泉を洗い流した方がよい
殺菌力が強く「殺菌の湯」「皮膚病の湯」と呼ばれる
⑥主な効能
腺病、神経痛、胃腸病、皮膚病
9.含よう素泉
温泉水に一定以上のよう化物イオが含まれる温泉(鉱泉)
①湯の色
茶褐色
②味
薬味
③臭い
薬臭
④肌ざわり
主成分によりサラサラやピリピリなど
⑤温泉の特徴
うがい薬やヨードチンキの成分が入っている温泉
飲用の適応症は高コレステロール血症
⑥主な効能
リウマチ、腰痛症、神経痛、五十肩
10.放射能泉(ラドン/ラジウム温泉)
温泉水に一定以上のラドンが含まれる温泉(鉱泉)
①湯の色
無色透明
②味
無味
③臭い
無臭
④肌ざわり
サラサラ
⑤温泉の特徴
入浴や飲泉に加え「吸う」ことでも効能がある
温泉による肌への刺激は少ないが体全体への影響力は高く「万病の湯」とも呼ばれる
源泉かけ流しでないと効果はない
⑥主な効能
痛風、動脈硬化症、高血圧症、慢性皮膚病
以上、参考にしていただけると幸いです。